さまざまなウェブメディアや
『anan』『婦人画報』などの人気雑誌で執筆する他、
ご自身のBLOG『京都くらしの編集室』で京都ライフを発信している
京都在住フリーライター・江角悠子さん。
彼女ならではの視点で
京都のおつけもん屋さんを訪ね歩きます。
お店の個性やオススメの逸品、
ありきたりじゃない京のおつけもんが揃っています。
ツウな情報をお楽しみください!
京都ライター江角悠子の
京都おつけもん探訪記
Kyoto Otsukemon Exploration
Part.25
京つけもの 市久八木
Kyotsukemono Ichikyuyagi
JR山城青谷駅から徒歩5分の場所に店を構える「京つけもの 市久八木」。江戸時代から梅林の名所として知られる青谷梅林もすぐ近くにあります。店の創業は明治23年と古く、実に130年もの歴史がある老舗です。今回は、現在4代目となる代表取締役・八木博久さんにお話を伺いました。
住宅街の中にある店舗。2月の取材時には冬の風物詩「千枚漬」ののぼりが上がっていました。
店内には、地元青谷産の梅を使った梅干しをはじめ、胡瓜や茄子、生姜、紫蘇、茗荷をほどよい酸味で仕上げたいわゆる“しば漬”などの商品が並びます。「直営店はこの一軒のみ。店頭で売る以外は問屋に卸す方が多いですね。外食チェーン店などでうちの漬物が出されることもあり、偶然入った東京の和食店で自分の作った漬物が出てきたこともありました(笑)」。なんと八木さんは、野菜の切り方などで分かったのだそう! もしかすると私たちも、市久八木の漬物とは知らずに口にしているのかもしれません。
代々農家をしており、野菜や梅など生産したものを加工し、販売していたことが店の始まり。「高校生の頃から父親の手伝いをしており、大学を出た後は、京都市内にある丸漬さんで1年ほど修業をさせてもらったことも。その後、東京の築地などで経験を積み、漬物屋の跡を継ぎました。とはいえ、 野菜や梅の生産者であることは変わりなく、製造・販売も一括してやっていることがうちの強みでしょうか」と八木さん。
青谷梅林で収穫できる梅として「城州白(じょうしゅうはく)」という品種がよく知られています。肉厚で香り高く、粒が大きいという特長があり、城州白の梅を使った商品はメディアでもよく取り上げられています。「ただ、生産者としてはどの品種の梅も大切に思っているので、城州白だけが取り上げられることにはちょっと危機感を持っています」と八木さんは話します。そんな思いもあって同店ではあえて、城州白の梅干しを使用!とはうたっていません。「青谷梅林では、南高梅も白加賀梅も収穫できるんです。その時期ごとに旬を迎える梅を使った商品作りをしています」。
漬物に混じって、くるみやアーモンドといったナッツや干しぶどうなど身体に良さそうな商品もあり。地域の方の健康を願う社長セレクトの品。
店舗に来るのは主に地元の人。「自宅用に」と購入する人が多いそうで、量も気持ち多め、何より一袋300〜400円という商品がほとんどで、手ごろな価格に目を奪われます。「市内で買うよりはだいぶ安いと思いますよ(笑)ここで“市久八木”の名前を売ろうとは思っていないんです。良いものを作っていたら商品が勝手に営業してくれると思ってますし、お客様においしいなと思ってもらえたら、それが一番なんです」。店内にはナッツや干しぶどうなど、健康を意識する人が買いたくなる商品も置いてあり、こんなところからも「お客様第一」という想いが伝わってくるようでした。
イチオシ商品
茶丸漬
1袋 432円
まんまるい見た目に一瞬、ゆで卵? と目が釘付けになってしまった商品。元々は奈良漬け用に生産されていた「源吾兵衛すいか」の漬物で、醤油や柿の皮、紫蘇の葉、唐辛子などの香辛料で漬け込んであります。甘辛い味わいと、カリカリと小気味いい歯ごたえはクセになるおいしさ。先代が生み出した逸品は、箱買いするファンもいるほどの人気です!
ライター江角の
京つけもの 市久八木
京都府城陽市市辺五島64-3
TEL 0774-52-0124
営業時間 8:00〜12:00 / 13:00〜17:00
土曜・日曜・祝日定休