さまざまなウェブメディアや
『anan』『婦人画報』などの人気雑誌で執筆する他、
ご自身のBLOG『京都くらしの編集室』で京都ライフを発信している
京都在住フリーライター・江角悠子さん。
彼女ならではの視点で
京都のおつけもん屋さんを訪ね歩きます。
お店の個性やオススメの逸品、
ありきたりじゃない京のおつけもんが揃っています。
ツウな情報をお楽しみください!
京都ライター江角悠子の
京都おつけもん探訪記
Kyoto Otsukemon Exploration
Part.18
宮川町むからみ
Miyagawacho Murakami
京都にある五花街のうちのひとつ、宮川町にある漬物屋さん「宮川町むらかみ」。江戸の天保年間に創業した老舗「村上重本店」の支店として、明治44年に創業しました。11年前に建て替えたという店舗は新しく現代風ですが、実は100年以上の歴史があるのです。現在お店を守るのは、4代目となる村上嘉一さん。「曽祖父が始めた店で、私が継いでから22年。私自身も本店に2年ほど勤務して、一から本店の漬物作りを学びました」と話します。
今もお茶屋さんが残る宮川町に溶け込むようにあるお店。ご近所さんに愛され、繁忙期を除くとなじみ客がほとんど。
千枚漬が名物として知られる村上重本店ですから、「宮川町むらかみ」の名物もやはり千枚漬。「千枚漬は毎年11月〜2月の時期だけの期間限定品。お店のすぐ横が工房になっていおり、機械を入れていないので専用のカンナで手作業にてかぶらを削り、昔ながらの木樽に漬け込んで作っています」
一番の特徴は、漬け込む際に酢を一切使っていないこと。「ですので、全然酸っぱくないのが他との違いでしょうか。その代わり、昆布を一般のレシピの約2倍使って漬け込むので粘り気が多く、昆布のうま味、かぶらの甘みを存分に楽しんでもらえる仕上がりになっています」。ふだん同店のお漬物は店頭販売のみですが、千枚漬に限り遠方に送付することも可能。「むからみの千枚漬でないと、と毎年購入してくれる方や関東のお客様も多いですね」と村上さん。
漬物は、お茶屋さんでのまかないに添えるお漬物としても人気だという。
千枚漬のシーズン以外では、最近「キムチ」が好評だとか。「父の代から始めたのですが意外と人気で、以来私の代になっても作り続けています。父が辛いものが苦手だったこともあり、辛みはそれほど強くなく、あっさりとした味付けになっています」
華やかな花街にひっそりと佇む漬物屋さん。石畳が続く風情ある街並みを楽しんだ後は、ぜひこちらに立ち寄り、京都人が食べている“ふだん使い”のお漬物をチェックしてみてはいかがでしょうか。
イチオシ商品
泉州水茄子
380円(税込)
夏の時期におすすめなのが、水茄子の名産地・大阪南部にある泉州の茄子を使った漬物。茄子のお漬物は、鮮やかな紫色の美しさが何より印象的ですが、この色味を残したまま漬物にするには、やはり技が必要。シャクっとした何とも言えない食感とみずみずしさは、暑い時期にこそぴったり。塩分補給を兼ねておいしくいただけそうです。
ライター江角の
宮川町むらかみ
京都市東山区宮川筋七丁目385
TEL:075-561-3835
営業時間:9:00〜18:00
休み:日曜・祝日