さまざまなウェブメディアや
『anan』『婦人画報』などの人気雑誌で執筆する他、
ご自身のBLOG『京都くらしの編集室』で京都ライフを発信している
京都在住フリーライター・江角悠子さん。
彼女ならではの視点で
京都のおつけもん屋さんを訪ね歩きます。
お店の個性やオススメの逸品、
ありきたりじゃない京のおつけもんが揃っています。
ツウな情報をお楽しみください!
京都ライター江角悠子の
京都おつけもん探訪記
Kyoto Otsukemon Exploration
Part.6
土井志ば漬本舗
Doi Shibadsuke Honpo
京都市内の北東部に位置する、自然豊かな里山・大原。近年は、毎週日曜の朝に開かれる朝市が人気で、京都駅からはバスに乗って約1時間と距離があるものの、多くの観光客で賑わっています。古くは皇族が隠棲した地としても知られる大原で118年続いてきたお店が、「土井志ば漬本舗」です。
この地で古くから食べられているのが、夏野菜を大原の名産であるちりめん赤紫蘇で漬け込んだ「紫葉漬」。これを「志ば漬」と命名して、自宅の軒先で販売していたのが、お店の始まりだそう。そして、現在5代目の社長・土井健資さんにお話を伺ってまず驚いたのが、「しば漬とは、大原で作られたものだけを指す」ということ。ほんまもんの「しば漬」を名乗るため、わざわざ大原に工房を持つ漬物屋さんもあるのだとか。なんと!知りませんでした…!
本店の裏側に広がる赤紫蘇の畑。観光客でも、夏になると一斉に赤く染まる様子が見られる
同店では、香りが強く、色も良いという「ちりめん赤紫蘇」を自社農園で栽培。木樽を使い、紫蘇と塩だけを使って熟成発酵させる昔ながらの製法でしば漬作りをしています。乳酸発酵しているため、しっかり酸味があるのが本来のしば漬なのです。
大型観光バスで観光客が訪れることもある本店。併設してある工場では、仕込みの様子もガラス越しに見学できる
「漬物をおいしく食べてもらいたい」という思いから、毎月21・22・23日の「漬物の日」には、新商品を発表(商品開発の人は大変だ…!)。さらに漬物を作って販売するだけではなく、本店の横にはレストラン「竈炊き立てごはん土井 本店」をオープン。店名通り、昔ながらのかまどで炊いたホカホカのご飯に、自家製のお漬物を提供。さらに“漬ける”技を活かして作った西京漬やおばんざいなど、京の味が堪能できるようになっています。
「もともと自宅の前でしば漬やご飯を提供して、峠を行き来する行商人をもてなしていたのが、わたしたち商売の原点。今も昔も、やっていることに変わりはありません」と土井さん。レストランは来年4店舗目の出店も決まっているそう。
近年は次の時代に向けた新しいことを探求しており、海外向けにお湯を注ぐだけでお漬物入りのおかゆさんが楽しめる「フリーズドライおかゆ」を開発するなど、同店の活躍はとどまることを知りません。伝統を大切にしながらも、新しいことを次々と手がける土井さん。次は一体どんなことを始めるのか、どんな新しいお漬物に出合えるのか、楽しみです!
イチオシ商品
土井の志ば漬(きざみ)
1袋476円(税込)
自社農園で栽培した「ちりめん赤紫蘇」で茄子を漬け込んだ志ば漬。昔ながらの赤紫蘇と、塩だけを使って熟成発酵させたものをはじめ、醤油味に仕上げたものや昆布と鰹だしを加えて、独特の酸味抑えたものなど、志ば漬だけでもさまざまな種類を用意。中でも一番人気は、志ば漬をきゅうりやみょうがと一緒に細かく刻んで、食べやすくしたもの。漬物を切る手間いらず、袋から出してすぐに味わえる手軽さで好評だそう。
京都ライターの
土井志ば漬本舗 本店
京都市左京区八瀬花尻町41
TEL:075-744-2311(代)
営業時間:9:00〜17:30(土日祝日は18:00)※季節により変動あり
年中無休(不定休あり)